[雑記]変なポールが大好き!

道徳的で、何でも出来る人に対して「素晴らしい!」と思う一方、「なんかつまらない・・・」と思ったりすることがあるのは私だけだろうか?

反対に、なんでこんな変な人に惹かれるんだろう・・・と思いながら、どんどん好きになっていくことってあるよね?


ポールは変な子だった。


「お金持ちになりたい。一度に5人くらいの女の子と付き合いたい。」と、平気で言っていた。
最初は、「はぁ???」と思っていた私も、この子はそういいながら楽しく生きていくんじゃないか・・・と思い始めた。「本当は、そんなことが出来たらいいな。」ってみんな思っているんじゃない?


神社ではおみくじをひき、一喜一憂していた。自分が辰年だということを知って、そのことを気に入り「ラッキー・ドラゴン!」を連発して、いろいろと集めていた。買ってあげた甚平をとても気に入り、下駄を履き、最後には木刀を買ってルンルンしていた。この格好で、アメリカに帰るつもりだった。


タバコは吸わないはずが、隠れて吸っていたし、お酒も飲まないって言っていたのに、隠れてビールを飲んでいた。忍者のようにサッと自販機から買っていた。「いつ買ったの?」って聞くと「僕は、忍者なんだ」ってニッコリしていた。おいおい!!


たびたび、わざと反対のことを言った。私もわざと反対のことを言った。「ご飯おいしかった?」と聞くと「まずかったよ」とか、「手伝って!」って言うと「嫌だよ」とか、私も「僕がいなくて淋しかった?」と聞かれて「全然!」とか言い合って、顔を見ると反対だってわかっていた。多分これは、私とポールの間でだけの表現方法で、仲のいいことを確認しあう意味を持っていた。私の息子とは、彼ら二人の間だけで通じる何かがあったようだった。


友人のギターコンサートの司会を私がした時も、見に来てくれた。「一番大事なのは、ニコニコしていることだよ。自分を信じろよ!!」と励ましてくれた。家で練習をしていると、チェアガールのように「Kumiko!!ヒゥー!ヒゥー!!」と言って応援してくれた。


服装は、Gパンが腰パンで、下着が半分見えていた。よく、Gパンのチャックも開いていた。こんなにチャックを開けっ放しにしている人を見たことがない。「ポールの◎×を見たくないよ〜」と言うと「このチャックがいけないんだ・・・」みたいなことを言って、あわてて閉めていたっけ。


可愛い女の子のことが大好きで、このことについてはたくさん困らせられた。誘われてもいないのに、女の子達の後をついてラーメン屋さんに行っていたこともあった。誰かに迷惑をかけるんじゃないかと心配した。じっと見る青い目が急に強い力を持つ時があった。「アメリカでは18歳の男の子はみんな、ムラムラしているんだよ」なんて言っていた。「日本も同じだけど、普通言わないんだよ」って言うと「何で〜?」って感じだった。避妊具を持ってきていたから、チャンスがあれば・・・くらいに思っていたのかも知れない。帰るときに、荷造りが全く出来ないポールの荷物の中から「これなあに?」と避妊具を出すと「まあ、いいから。1つあげるよ。安全が一番さ!」みたいなノリが面白かった。私は遠慮したけれど、うちの息子は貰っていたけどね・・・。


自分で、「僕は変態なんだ。」と嬉しそうに言っていた。変態なことは素敵なんじゃないか・・・と思いそうになる子だった。海釣りの魚を刺身に作っていた時、魚の内臓をぐいぐいとわしづかみに引っ張り出している私に「SEXY!Kumiko!!」と叫んでくれたのは、最高の誉め言葉だったと思う。


そして、私が「あなたの性格に興味があるよ」というと「僕は、僕の性格が大好きだ」と答えた。多分、このことが私たちがポールに惹かれる理由の根っこなんだろう。ポールは子供の頃は、ADDのせいだと思うけれど、大分ひどいいじめにあったようだ。このことを私に話した時、彼は泣いていた。それでも、こんなふうに自己肯定できるのは、両親が彼を否定せずに育てたからだろうと思う。ADDを受け入れ、あるがままの彼を受け入れたのだろう。


今、私が働いている児童館には、いろいろな子がいる。発達障害かな?と感じる子もいる。将来、変態になりそうな子?もいる。そういった子達は、本人も周りも苦しんでいてどうしたらいいかわからない・・・。私は、素人なので判断は出来ないけれど、なるべく早く、専門家にきちんと判断してもらって、その子達のあるがままの姿を受けいれていければいいと思う。特におうちの人は、認めたくない気持ちはあると思う。でも、出来ないことは出来ない。しつけではどうしようもない個性。それを理解しなければ、みんなが不幸になると思う。


私の家にポールが来たことは、ある意味必然だったのかもしれない。私にも、そして高校3年生の息子にも与えた影響は大きい。受験を控えた大事な時期に浮かれていていいのか・・・という心配もあったけれど、将来、社会に出てからの人間を見る目がいい意味で変わったんじゃないかと期待している。


ポールは、これから、社会の中でどんなふうに生きていくのか・・・。
仕事をする時、どうするんだろう・・・。
悪い人に騙されないかが一番心配だ。
ポールのことを理解して、助けてくれる人ばかりではないかもしれない。
でも、たくましく生きていってね。はるか遠くの日本から応援しているよ。